
メディア ポート「UP」が、インスタレーション作品における表現ツールとして、2009年10月~12月に日本経済新聞社本社ビルで行われた「タイポロジック─文字で遊ぶ、探る、創る展覧会」の展示作品“Urbanized Typeface”に採用されました。
“Urbanized Typface”は、渋谷全域を移動した軌跡によってデザインされるフォント「Shibuya08-09」及びその制作過程をアーカイブした映像インスタレーションからなる作品だ。街を移動する際に記録したGPSデータ、映像、環境音といった外的要因を映像インスタレーションとして空間に再構成することで、鑑賞者はその制作課程をリアリティをもって追体験することができる。また、GPSデータを基に制作したオープンタイプ・フォント(※)は実際にパソコンにインストールし、使用することも出来る。
通常のインスタレーションにおいて、GPSデータから生成される高度を持ったアルファベットの映像は床に投影され、鑑賞者は手元のキーボードで映像を操作する。文字の軌跡の上を走る赤いラインは移動中の現在地を示し、その場を移動する風景が正面に投影され、リアルタイム処理によりカットアップされた環境音も加わり、鑑賞者はフォントの視覚的な表層だけでは決して体感することはできない、プロセスの中にあるダイナミズムを感じることができる。
※「オープンタイプ・フォント」について : http://www.adobe.com/jp/type/opentype/
通常のインスタレーションにおいて、GPSデータから生成される高度を持ったアルファベットの映像は床に投影され、鑑賞者は手元のキーボードで映像を操作する。文字の軌跡の上を走る赤いラインは移動中の現在地を示し、その場を移動する風景が正面に投影され、リアルタイム処理によりカットアップされた環境音も加わり、鑑賞者はフォントの視覚的な表層だけでは決して体感することはできない、プロセスの中にあるダイナミズムを感じることができる。
※「オープンタイプ・フォント」について : http://www.adobe.com/jp/type/opentype/
“Urbanized Typeface”は、「バイノーラル録音」という方法で制作過程の環境音を録音している。 バイノーラル録音は、一般的な録音方式と異なり、耳たぶや体の各部によって複雑に回折・反射した音声を録音することから、より現実に近い音声を再現することができる録音方式だ。
今回の作品制作にあたっても、制作者が自転車で渋谷の街を走行する際に、自らの耳の穴に小型のマイクをセットして録音をしている。この録音方式はステレオフォニック方式で再生することで初めて効果が得られる。
09年の 「タイポロジック─文字で遊ぶ、探る、創る展覧会』では、限られた展示スペースの中で、より臨場感のある作品展示を実現する為にメディア ポート「UP」が用いられた。目の前のディスプレィには、制作者が渋谷の街を走行する際に、実際に見ていた街並みが映し出され、高音質の密閉型ヘッドフォンを通して、バイノーラル方式で録音された音声が流れた。これにより展示作品を見る人々はあたかも制作の現場にいるかのような体験をすることができた。
今回の作品制作にあたっても、制作者が自転車で渋谷の街を走行する際に、自らの耳の穴に小型のマイクをセットして録音をしている。この録音方式はステレオフォニック方式で再生することで初めて効果が得られる。
09年の 「タイポロジック─文字で遊ぶ、探る、創る展覧会』では、限られた展示スペースの中で、より臨場感のある作品展示を実現する為にメディア ポート「UP」が用いられた。目の前のディスプレィには、制作者が渋谷の街を走行する際に、実際に見ていた街並みが映し出され、高音質の密閉型ヘッドフォンを通して、バイノーラル方式で録音された音声が流れた。これにより展示作品を見る人々はあたかも制作の現場にいるかのような体験をすることができた。

2009年10月から12月にかけて開催された、私がアートディレクションをつとめた展覧会、「タイポロジック──文字で遊ぶ、探る、創る展覧会」(日経新聞社 SPACE NIO)に山口崇洋作品“Urbanized Typeface : Shibuya08-09”が出品された。
この作品は山口氏が多摩美術大学大学院の修了制作として制作したもので、都市(東京・渋谷)を移動した軌跡からタイプフェイスを生成し、それを実際に印字できるフォントにまとめ、さらにインスタレーションに展開するという作品である。
私の専門のひとつにタイポグラフィがあることから、制作中から相談を受けていたのだが、ダイナミックな制作手法に比べて、その結果がフォントでは小さくまとまってしまうのではないかということを危惧していた。しかし、その心配は杞憂に終わり、迫力ある映像と文字を描き出すCGとを組み合わせたインスタレーションは、コンセプトを伝えてあまりあるものになった。
タイポロジック展の展示では、それにニコンのヘッドマウントディスプレイ、メディア ポート「UP」が加わり、さらに作品の意図が明確に伝わるものになっていた。片眼で都市を走行する風景を見て、それに重ね合わせるように文字が書き出されるところを体験できる。まさに、ひとつの機器によって、「鑑賞」から「体験」へと違うフェーズに導くことに成功していた。
テクノロジーをもちいた表現はややもすれば技術に使われ、技術のデモンストレーションのようになってしまうが、今回の“Urbanized Typeface”と「メディア ポート UP」の組み合わせは、表現と技術の幸福な出会いと言っていいだろう。
この作品は山口氏が多摩美術大学大学院の修了制作として制作したもので、都市(東京・渋谷)を移動した軌跡からタイプフェイスを生成し、それを実際に印字できるフォントにまとめ、さらにインスタレーションに展開するという作品である。
私の専門のひとつにタイポグラフィがあることから、制作中から相談を受けていたのだが、ダイナミックな制作手法に比べて、その結果がフォントでは小さくまとまってしまうのではないかということを危惧していた。しかし、その心配は杞憂に終わり、迫力ある映像と文字を描き出すCGとを組み合わせたインスタレーションは、コンセプトを伝えてあまりあるものになった。
タイポロジック展の展示では、それにニコンのヘッドマウントディスプレイ、メディア ポート「UP」が加わり、さらに作品の意図が明確に伝わるものになっていた。片眼で都市を走行する風景を見て、それに重ね合わせるように文字が書き出されるところを体験できる。まさに、ひとつの機器によって、「鑑賞」から「体験」へと違うフェーズに導くことに成功していた。
テクノロジーをもちいた表現はややもすれば技術に使われ、技術のデモンストレーションのようになってしまうが、今回の“Urbanized Typeface”と「メディア ポート UP」の組み合わせは、表現と技術の幸福な出会いと言っていいだろう。
永原 康史
(ながはら やすひと)
グラフィックデザイナー。
多摩美術大学情報デザイン学科教授。書籍からウェブ、展覧会までを手がけ、メディア横断的なデザインを推進している。
愛知万博「サイバー日本館」、スペイン・サラゴサ万博日本館サイトのアートディレクターを歴任。
“Urbanized Typeface”は、山口氏が大学院在学時に取り組んだ作品として、修了制作の時点ですでに高い評価を得ていた。この作品は高度情報化社会における最先端の技術を使いながら、そこに今日の都市に生きるわたしたちの身体感覚を接合させる点で、メディアアートの最前線と言ってよい。東京の渋谷区を自転車で走りながら、その軌跡をつかってアルファベットの文字をAからZまですべて描く。
作品の展示では、キーボード上で文字を叩くと、その文字が自転車の走る軌跡によって渋谷の地図上にスクリーンに表示され、体験者はそれと同時に、実際に自転車で走っている途中の映像と音声を、ニコンのヘッドマウントディスプレイ、メディア ポート「UP」を通じて体験することになる。地図上にGPSデータによる文字の図形が描かれてゆくのに応じて、実際の渋谷の風景が目と耳から入ってくるのである。理論的にいえば、地図と映像は、たとえば左右の配置されたふたつのスクリーンで上映され、スピーカーから流れる音声を聞くという従来型の展示も考えられるが、UPというパーソナルな装置を使うことによって、作品は従来型の展示とはまったく異なる次元に入ったという感触をもった。
これはUPが装着を感じさせないほど軽いということと、目の前に置かれるディスプレイの映像がクリアなため、その向こう側にある地図表示と自然に重なって見えるためである。体験者は実際に渋谷の町を高速度で動きながら、自分の移動の軌跡が文字として描かれてゆくという不思議な体験をすることになる。グラフィックと映像が新しい次元で接合される作品を通して、UPがアート作品において力を発揮することが示されたと言ってよい。
わたしは、日本経済新聞社新社屋で開かれた文字と活字の展覧会タイポロジック展をキュレーションするにあたって、鉛の活字をはじめとするさまざまな文字と活字の作品をセレクションしたが、Urbanized Typefaceはタイポグラフィーを都市計画や建築といった実空間へと開いたという点で、歴史的にも画期的な作品であると評価している。
作品の展示では、キーボード上で文字を叩くと、その文字が自転車の走る軌跡によって渋谷の地図上にスクリーンに表示され、体験者はそれと同時に、実際に自転車で走っている途中の映像と音声を、ニコンのヘッドマウントディスプレイ、メディア ポート「UP」を通じて体験することになる。地図上にGPSデータによる文字の図形が描かれてゆくのに応じて、実際の渋谷の風景が目と耳から入ってくるのである。理論的にいえば、地図と映像は、たとえば左右の配置されたふたつのスクリーンで上映され、スピーカーから流れる音声を聞くという従来型の展示も考えられるが、UPというパーソナルな装置を使うことによって、作品は従来型の展示とはまったく異なる次元に入ったという感触をもった。
これはUPが装着を感じさせないほど軽いということと、目の前に置かれるディスプレイの映像がクリアなため、その向こう側にある地図表示と自然に重なって見えるためである。体験者は実際に渋谷の町を高速度で動きながら、自分の移動の軌跡が文字として描かれてゆくという不思議な体験をすることになる。グラフィックと映像が新しい次元で接合される作品を通して、UPがアート作品において力を発揮することが示されたと言ってよい。
わたしは、日本経済新聞社新社屋で開かれた文字と活字の展覧会タイポロジック展をキュレーションするにあたって、鉛の活字をはじめとするさまざまな文字と活字の作品をセレクションしたが、Urbanized Typefaceはタイポグラフィーを都市計画や建築といった実空間へと開いたという点で、歴史的にも画期的な作品であると評価している。
港 千尋
(みなと ちひろ)
写真家・写真評論家。
多摩美術大学美術学部教授。
「群衆」「移動」などをテーマに写真を撮りながら、多彩な評論を行う。
2007年に行われたヴェネツィア・ビエンナーレでは、日本館コミッショナーを務めた。
会期 : 2009年10月16日(金)~12月18日(金)
場所 : SPACE NIO(東京・大手町/日本経済新聞社2F)
主催 : 日本経済新聞社SPACE NIO
協力 : (財)日本新聞教育文化財団
監修 : 港千尋(写真家・多摩美術大学教授)
AD : 永原康史(グラフィックデザイナー・多摩美術大学教授)
HP : http://www.typologic.net/
場所 : SPACE NIO(東京・大手町/日本経済新聞社2F)
主催 : 日本経済新聞社SPACE NIO
協力 : (財)日本新聞教育文化財団
監修 : 港千尋(写真家・多摩美術大学教授)
AD : 永原康史(グラフィックデザイナー・多摩美術大学教授)
HP : http://www.typologic.net/

紹介文(HPより引用)
活きている字、活字。15世紀グーテンベルグによる活版印刷の発明から21世紀携帯メールに踊る絵文字まで、人間は数えきれぬほどの文字や書体を生み出してきました。かつては新聞印刷にも使われていた金属活字のデザイン性や味わいが、いまインターネット時代に新たな注目を集めるなか、この展覧会はさまざまな文字作品をとおしてデザインとアートの最前線をめぐる試みです。生まれ、動き、走り、刻む、活字千変万化のパフォーマンスが大手町で始まります。
活きている字、活字。15世紀グーテンベルグによる活版印刷の発明から21世紀携帯メールに踊る絵文字まで、人間は数えきれぬほどの文字や書体を生み出してきました。かつては新聞印刷にも使われていた金属活字のデザイン性や味わいが、いまインターネット時代に新たな注目を集めるなか、この展覧会はさまざまな文字作品をとおしてデザインとアートの最前線をめぐる試みです。生まれ、動き、走り、刻む、活字千変万化のパフォーマンスが大手町で始まります。
山口 崇洋 Takahiro Yamaguchi
神奈川県生まれ。
多摩美術大学大学院情報デザイン領域修了。
書道、グラフィティ、タイポグラフィといった文字を用いた表現に
関心があり、文字を書くという行為を身体的なスケールに拡大した作品を多く制作、発表している。
主な展覧会に「ICCOPENSPACE 2009」(2009年 NTT インターコミュニケーション・センター)などがある。
“Urbanized Typeface”の詳しい情報はコチラへ

ニコンのヘッドホン型映像再生装置。
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