UP BEAT CLUB
UP BEAT CLUB イベントレビュー

第5回 2009年3月11日(水)

宇佐美 清氏  ブランディングディレクター

今回は、ブランディングディレクターの宇佐美清氏をゲストに迎え、ブランディングの未来について語っていただいきました。

受検キャンペーン

「高度成長期の日本のマーケットでは、消費者よりも企業がマーケットの主導権を持っていました。何も考えずに物が売れていたバブル期までは、とくに商品の開発や販売に関して戦略は必要ありませんでした。ところが、バブル崩壊後のマーケットでは、主導権が消費者に移り、モノやサービスを売るのに戦略が必要となったのです」
 当時、高い認知度を誇りながら利益を崩していたキットカット。日本でも数少ないブランディングディレクターだった宇佐美氏は、キットカットのブランディングに参画されました。
「チョコレートは女子中高生がメーンターゲット。彼女たちの三大ストレスは、事前の調査から恋愛、勉強(受験)、友人関係だと判明していました。他方、九州の女子中高生たちが運動部の彼氏に『きっと勝つとよ』(九州弁)と、キットカットを渡しているという話がありました。これらを組み合わせ、受験というストレスからの解放を軸に受験キャンペーンがスタート。偶発的なマスコミの取り上げなどもあり、受験キャンペーンはあっという間に認知度を高めていきました。ピーク時には、センター試験が行われた大学キャンパスのゴミ箱は、キットカットの赤い箱でいっぱいになっていたそうです」
 そして、みなさんもご承知のように、たくさんの類似企画が出回るようになりました。その後、キットカットは映画や音楽を組み合わせたブランディング展開を続け、今年は受験キャンペーンの集大成として「キットメール」を行ったのです。
「この企画は、郵政民営化のときに発案したのですが、絵葉書とキットカットのセット26万個をほぼ完売し、大成功を収めました」

価値観の流動化

 未来のブランディングについて、宇佐美氏は次のように語りました。
「まず、2008年11月以降、価値観が流動化していると感じています。単に高付加価値の商品が売れる時代ではなくなったのです。そこにさらなる価値の足し算、あるいは引き算をした商品が売れています。例えば、タレをジェル化させ、ビニールをなくした納豆が売れていますよね。これは引き算です。携帯電話は、どんどん機能が多彩になっている。これは足し算。顧客ニーズが細分化され、何がヒットするのかが分からなくなっている中で、今後は、ブランディングの重要性が高まっていくはずです」

 UPについては、「細分化されたインサイトを満たすために、携帯電話のようにさらに高機能になっていくはず。新たなポジションが出てくれば、必ず成功する製品です」

宇佐美 清氏 プロフィール

宇佐美 清氏 ブランディングディレクター
1950年生まれ。博報堂、米国広告代理店レオバーネット、マッキャンエリクソン、ボーゼルワールドワイドを経て、1999年JWTジャパンに移籍。1980年TCC 新人賞を受賞。2001年、ネスレ・コンフェクショナリーのキットカットを担当し、NY フェスティバルAME賞などを受賞。2006年、MUSB設立。
著書に『USAMI のブランディング論』(トランスワールドジャパン)がある。


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